「撃男がやられ、百香の親父を殺した強盗もやられたか。」
とある場所で巨大な刀を背負い、仮面をかぶった一人の男が呟いた。彼の名は「ミスターX」、正体不明の謎の男だ。
「俺と貴様だけが残った今この国を壊せるのは俺たちだけだ。なぁ覊よ。」
Xに呼ばれると覊はこう答えた。
「ですね。我々で世界をぶっ壊して行きましょう。」
その時だった。

ズドォン!

一人の女が二人をめがけて攻撃してきた。
「そこまでよX、おとなしく観念しなさい!」
突然襲いかかってきた女に驚く二人。
「きっ貴様は」
「私は安中榛名。貴様たちを潰そうと追ってきたの。あなたたちの悪事は全部お見通しよ!」
「出やがったか。一瞬で倒してやる!」
榛名とXのバトルが始まった。

「フンッ、やれるもんならやってみろ!貴様ごときが世界最強のこの俺に勝てるわけあるまい。」
「女だからってなめてかかったら痛い目見るよ。」
戦いは互角に見えた。しかし
Xの攻撃を受けると榛名はその場で倒れてしまった。

「だから言っただろ?貴様ごときが世界最強の俺に勝てるわけないと。」
Xはそう言い残すと覊とともにその場を立ち去った。

一方残された榛名はXを確保できなかったことに悔しさをにじませた。
「くっ、また倒せなかった。次は絶対捕まえてやる。でもまた一人で行ってもまたやられるだけね。あっ。」
榛名はあることを思いついた。
「歌舞伎町に悪人裁きやってる女の子がいたわね。その子の手を借りよう。」
榛名はそう言うと歌舞伎町に向かって歩き出した。

その頃百香たちは仕事が来るのを待ちながら家でのんびりしていた。
「今日も平和ねぇ。」
そう呟いた時だった。

ピンポーン

呼び鈴が鳴ったので出るとそこには榛名が立っていた。
百香は榛名を客間に通すと榛名は事情を話し始めた。
「私は安中榛名。特別捜査官のスパイよ。私はミスターX率いる犯罪グループを潰すために彼らの跡を追ってるんだけど圧倒的な強さゆえに私一人では手も足も出ないの。そこで百香たちと一緒にXの組織を壊滅して欲しいの。」
事情を聞いた百香はXについて聞いた。
「そのミスターXって何なの?」
「Xは色々謎が多くてよくわからないの。今わかってるのは撃男って部下がいたんだけど将軍を拉致した罪で捕まったのと覊っていう部下が唯一残ってることだわ。しかも奴らは相当国を憎んでるようで全国規模の破壊活動を計画してるらしいの。だから奴らが動き出す前に計画を阻止しなければ我が国は壊滅的な被害を被ってしまうわ。」
「じゃあ分かった。一緒に協力しましょう。」
百香たちは榛名から事情を聞くとすぐに動き出した。

「動き出したはいいけど奴のアジトはどこにあるの?」
百香はアジトの場所が気になっていた。
「それなら既に場所は掴んでるわ。ここよ。」
榛名が指を指す先にあるのは人気のないビルだった。

ここが本当に奴のアジトなのかと疑わしく感じる百香だったがあることが気になってた。
「なんで奴らは普通のビルをアジトにしているの?」
「きっと怪しまれないようにするためだと思うよ。逆に派手にしちゃうとかえってすぐバレちゃうだろうから。」
とその時だった。

ドゴォォォン

「ひゃあっ!」
突然3人は何者かの攻撃を受けた。

「俺たちのアジトを嗅ぎまわってるのは君たちか?」
そこに現れたのは覊だった。
突然現れた覊に榛名はこう言った。
「現れたな貴様っ!Xはどこにいる?」
覊は百香たちをあざ笑うかのようにこう言った。
「Xはどこにいるかって?さあな、簡単には教えないよ。居場所を知りたきゃ俺を倒してからにしろ。」
そう言うと覊は百香たちに攻撃を仕掛けた。

覊の攻撃を避けると百香は覊に勢いよく斬りかかるが、即座にガードされてしまう。
そして覊の蹴り技で百香は後ろに吹き飛ばされてしまった。さらに・・・

「とどめだ。」

覊は百香に止めを刺そうと迫る。覊が刀を振りかざした時だった。
「?」
振りかざした刀が途中で止まった。
「・・・くっ・・・」
そう、下から榛名が刀で食い止めたのである。
「仲間に手出しはさせない。百香、今のうちに出て。」
百香はその場を出ると再び反撃に出た。

百香は右手を拳にすると覊の体にぶつけて走り出し、そのまま壁に叩きつけた。
しかし覊の蹴りで引き離されてしまうが、めげずに刀で斬りかかった。
百香の一撃が命中し、覊はその場に倒れた。

「どうやらあたいの勝ちのようね。約束通り居場所を教えてもらうわよ。」
覊はそう言われると最後の力を振り絞って居場所を教えた。
「・・・Xは・・・最上階・・・・・・に・・・いる・・・・・・」
Xの居場所を聞いた百香たちはそのまま最上階に向かって動き出した。

最上階を目指してひたすら階段を登り続ける百香たちだったが百香はあることが気になってた。
「最上階って言ってたけど最上階って何階なの?」
最上階を聞かれた榛名は
「最上階は20階よ。」
百香はバテ気味になりながら今いる階を見るとそこは
「7階・・・ってまだ半分も行ってないの?後の事を考えてエレベーターにしない?」
「せっかくたどり着いてもバテて戦えないんじゃ意味ないからそうしよう。」
百香の一言で3人はエレベーターに乗った。

エレベーターは順調に上昇しつつある。そんな中舞子は気になってたことがあった。
「私たちなんでさっきまで階段使ってたの?」
「きっと敵のアジトである以上罠が仕掛けられてる可能性もあるからよ。それに階段使ったほうが早いかもしれないからね。」
19階に差し掛かった時だった。

ドンッ!

「わあっ!」

突然エレベーターが止まった。
「一体何が起きたの?止まっちゃったの?」
思わず慌てる舞子だが、百香と榛名は平然としていた。すると百香はおもむろに扉を開けた。
扉の先は丁度乗り場側の扉が閉まっていた。
「目の前は扉のようね。百香、その刀で破壊して。」
榛名の指示で百香は扉を破壊し、3人はエレベーターから脱出した。

エレベーターを出た3人は階段を上がり遂に最上階にたどり着いた。3人はXを探すもなかなか出て来ない。すると
「俺はここだ。」
どこからか声が聞こえたその時だった。

ドオオオン!!

「キャアアアッ!!!」
爆音とともに3人は吹き飛ばされる。
「遂にここまで来やがったか小娘共。」
3人の前にミスターXが現れた。

「一人じゃ怖いから仲間引き連れて来たのか?貴様も随分弱くなったな。」
「そんなんじゃない!たとえどれだけ弱くてもみんなが力を合わせれば強くなることくらい分かってるでしょ。それに動機は何なの?」
「俺はこの国が憎いんだ。俺は生まれた時から天涯孤独でそのせいで寺子屋では常にいじめられていた。それで先公に助けを求めたけど何もしてくれなかったしその上俺が悪人扱いされて体罰までされたんだ。先公に言ってもどうにもならないならとそんな現状を幕府に訴えた。幕府はこの問題の解決に取り組むとは言ったけど所詮口だけ。そのせいでグレた俺は道を踏み外してそれからはもうめちゃくちゃな人生だ。それどころか庶民をいじめる事しか考えないし俺はそんな幕府が憎いんだ。でも残念、たとえ貴様が仲間連れてこようがもう既に世界の滅亡は始まってるから手遅れだ。俺は幕府に復讐すると誓ったからな!」
Xはそう言うと爆破スイッチを押した。

ドォン!ドドォン!!

爆破スイッチを押した瞬間アジトの周囲で爆発が起きた。3人が窓から外を見渡すと辺りは爆発と炎に包まれ、混乱する住民で溢れかえっていた。これ以上奴の好き勝手にはさせまいと百香はXに斬りかかった。舞子と榛名も参戦する。しかしXの攻撃力は凄まじく3人は跳ね返されてしまう。
「だから言ったろ?貴様らみたいなクソ女にこの俺が倒せるわけないと。」
しかしそれでも諦めずに戦う3人だったが、ほとんど押されてた。そして
「これでおしまいだ。」
Xは3人をサッカーボールの如く蹴り飛ばす。3人はエレベーターのドアを突き破って箱の上に落ちてしまう。
「とどめだ。」
Xは刀でロープを切ると箱と一緒に3人は下へ落下した。

猛スピードで落下する3人、しかしこのままではいられないと3人は壁を伝いながら上に登っていった。
上に戻った3人はすぐさま反撃に出た。そして
「高速斬り!」
百香の高速斬りがXを直撃する。しかしダメージは浅く
「貴様の攻撃が俺に通じると思うなぁぁぁぁぁぁっ!!!」
Xの反撃で百香は壁に叩きつけられてしまった。そこへ
「百香は私たちが守る!」
舞子の格闘技と榛名の刀が同時にヒットし、Xは百香から離れた。
そして二度目の高速斬りが命中するとXは血を噴出しながらその場に倒れた。

「やったか?」
その場に倒れたかと思われたが・・・
「まだ終わっちゃいねえ。本当の戦いはこれからだ!!」
何とXは再び起き上がって来たのだ。さらに
「何あれ?」
Xの刀が謎の黒い光が発していた。
「まさかブラックソードが発動するなんて。」
榛名が言うと舞子はブラックソードが何か気になった。
「ブラックソードって何なの?」
「ブラックソードはピンチになると発動するらしいの。今のところブラックソードを使えるのは彼だけだわ。どこでどうやって会得したのかどんな成分や物質が含まれてるのかは全くの謎でおまけに食らうと致死率が非常に高いらしいの。」
「ええい、ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!てめえらまとめて倒してやる!!」
Xはそう言うとブラックソードを起こした刀を振りかざした。するとその瞬間凄まじい地響きと爆音が鳴り響いた。

百香たちは攻撃をしようにもXの勢いに圧倒され手も足も出ない。しかし奴を倒さねば世界は終わる・・・その一心で攻撃を仕掛けた。
しかしそれでもXの勢いは凄まじく百香はXの蹴りで壁に叩きつけられてしまう。
そしてXは百香の隙をついて二人にブラックソードで斬りかかった。

ドドオオオオオン!!!

ブラックソードを喰らったかに見えたが
何と百香が盾になっていた。
「あたいの仲間に・・・触れるな・・・」
そして百香はその場に倒れてしまった。
「百香!」
二人は百香に呼びかけるが反応が無い。
「残念だけどこいつはもう死んだよ。」
Xの声に言葉を失う二人。
「嘘でしょ?百香ぁぁぁぁぁっ!!」
百香を抱きしめ泣き叫ぶ二人、部屋には絶望の空気が流れた。
「じゃあ残った二人も逝かせてやろう。」
それでもXは容赦なく攻撃を仕掛けようとする。ブラックソードの魔の手が再び襲いかかった。

(・・・ん?あたいもしかして死んだの?)
その頃精神世界で百香は体がどんどん下に降下してることに気づいた。さらに
(何だろう?今までの記憶が走馬灯のように駆け巡ってるわ。)
百香は今まで過ごしてきたことを思い出した。舞子、穂乃香、優樹奈といった幼なじみと過ごした日々や様々な人物との出会い、今まで戦ってきた事等だ。そして
(そうか、あたいは今舞子、榛名と一緒に戦っていたんだ。奴の野望を打ち砕くために!)
Xと戦っていた事を思い出すと今まで下降していた体が一気に浮上した。
ブラックソードが二人に襲いかかった時百香は再び立ち上がった。すると百香の刀も黒く光っていた。
「何が何でもあなたの思い通りにはさせないわ。」
百香の刀が黒く光ってることに驚く二人。
「百香、もしかして?」
「さっきブラックソード喰らって倒れた時にブラックソードの力を吸収したみたいなの。さ、行くわよ。」
百香とXの激しい打ち合いが始まった。

「あたいは絶対貴様を倒す!」
百香が斬りかかるとXは後ろに吹き飛ばされた。すると
「死ぬのは貴様だ!」
Xが斬りかかると今度は百香が吹き飛ばされる。

そして百香のブラックソードが威力を増してきた。
「何だ?この女。俺さえまだ使いこなしてないブラックソードを見事に使いこなしてる。」
「使いこなしてないって?そんな未熟な腕前で世界を破滅なんて何十億年早いのよ。むしろ破滅されるのは貴様の方よ。このあたいのブラックソードでね。」
その後一気に百香のブラックソードが威力を増すと周囲は黒い光に包まれた。
「これで一気に止めよ!」
大きくなったブラックソードがXを包み込む。そして

ドドオオオオオン!!!

Xを包み込んだブラックソードが爆発し、Xはその場に倒れた。

後日、3人は公園にいた。
「ブラックソードについて調べたら成分などはよくわからないけど空気中の様々な成分を取り込んでることがわかったの。しかもブラックソードを吸収して自分の物にしたのも百香が初めてらしいよ。」
3人が何気なく喋ってた時だった。
「ちょっと百香!」
声がした方を向くとそこには穂乃香と優樹奈がいた。

「せっかくの長編なのに私達の出番が無いっておかしいじゃない?」
「長編だから気合入れて準備したのに〜っ」
二人に問い詰められた百香は慌てて
「あたいに言われても分からないからその事は管理人さんに・・・って二人とも落ち着いて。」
百香たちの掛け合いを榛名は微笑ましく見ていた。

終わり

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